空き家を探す

2020年09月24日
りなぴ

農業をしていない私が雲南で狩猟をする意味を考える。その2


皆さん、こんにちは。
うんなん暮らし推進課の定住企画員、りなぴです。

前回の記事『農業をしていない私が雲南で狩猟をする意味を考える。その1』をご覧いただきありがとうございました!

前回の記事では、農業をしていない自分が雲南で狩猟をする意味を見いだせなかったところでおわっていますが、今回は私が雲南で狩猟を始める意味を見つけたお話をします。
 

狩猟をやっていないとはいえ、はじめましての方に自己紹介をするときに「小さい身体ですが、狩猟免許持っています。」と言うと、興味を持ってもらえます。
ですが、その返しとして「何で今はやっていないの?」と言われることが多くなりました。

獣から守るものが見つからない中、今の私が狩猟をする意味はなんだろう?

そんなことをもやもや~っと考えながら、雲南市にUターンして1年が経ったある日。
移住者さんと話す中で、こんな会話になりました。

「この風景は地域のおじいちゃん、おばあちゃんが農業をしてくれているから守られている。けれど、鳥獣被害はそんな人たちのやる気を奪ってしまう。そしておじいちゃん、おばあちゃんから農業という生きがいを奪い、外に出る機会を奪ってしまう。獣を一気に減らすことはできないけれど、”被害感”を減らすことはできないだろうか?」

そうだ。農地や作物だけでなく、人の想いや地域の風景こそ守っていかなければならないものだ。
移住者さんの言葉から、自分が雲南で狩猟をする意味が見えてきました。

そしてさらに私の背中を押してくれたのは、市役所の職員でした。

「猟師さんたちの高齢化が進んで困っている。若い力を必要としている。」

地域の想いを守るため、被害感を減らすため、猟師さんたちの負担を減らすため、若者の意識向上のため、自分が住むまちを守るため。

きっとこれが私が雲南で狩猟をする意味。

そして昨年の冬の猟期から、狩猟をスタートしました。
今のところの実績は1頭。

捕獲するだけが自分の猟師としての役目だとは思っていません。
私の役目は、ただひたすら狩猟をするだけではなくて、若者や女性へ向けて狩猟や獣害に対する意識向上の仕組みを考えることかな、と最近は思いつつあります。
 

考えているのは、女性でも無理なく防除ができる仕組みづくりです。
獣に作物を奪われないような防除を考え、そしてその防除を地域で農業を行っている人たちに広げていきたいな~と漠然と妄想だけしています。

今、私が住んでいる地域で、サル・イノシシ対策のモデル圃場をつくりました。
活用したのは、竹マルチ。
サツマイモを育てていますが、イノシシは竹が邪魔で掘り返すことができず、サルは引っ張っても蔓で切れてしまい、肝心のイモをとることはできない。
田舎あるある「家の裏の竹林が勢いよく育って管理しきれない」問題も、竹マルチとして活用することで管理できます。

また、サル対策としては、高齢化で管理が行き届いていない柿の木などの果樹を調査を行いたいと考えています。
柿が放置されていると、サルが集まりやすい地域になってしまうので、どれくらい管理ができていないか調査し、管理できていない果樹は、地域外の方に果樹を採ってもらうという地域のイベントにできないか?と…。

少しずつですが、このフワフワな妄想を実現していきたいです。
 

​田舎で暮らしていると、生活のどこかで獣害を感じる部分があります。
子どもの通学路にサルが出るとか。
庭をイノシシが掘り返しているとか。
空き家に住んでみたら、屋根裏や床下から動物の気配を感じるとか…。

農業をしていなくても、意外にも獣害は身近で感じるものです。

今回のコラムをお読みいただき、「自分にできることはなんだろう?」と考える若者が1人でもいれば、万々歳です。
ぜひどこかで語り合う時間をつくりたいものです。
守る方法は狩猟だけではないですが、もし狩猟に興味を持ってもらえたら、ぜひ免許を取得していただき、猟師として地域を守ってほしいです。

ですが、「なんとなく、興味本位で。」という気持ちで狩猟免許を取り、狩猟を始めることはオススメしません。
狩猟は、動物の命を奪う行為でもあります。
人が生きていくために、どうしても行わなければならない行為です。

そこを理解したうえで、守るべきものをしっかり守る行為として、私は狩猟をします。

以上、私が雲南で狩猟をする意味を考えた結果でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。