年商13億、老舗部品メーカーの新たな挑戦
日本の経済を支えてきた「ものづくり」の象徴ともいえる自動車。世界と戦う日本の車を縁の下で支えてきた高品質なコントロールケーブル用の部品を製造してきた会社が雲南市にある。創業45年以上の歴史を持つ株式会社山光だ。コントロールケーブルは、運転者が引く、押す、廻すなどの作用をアクセルやドアなどに伝える部品。精密性と耐久性を併せ持つ山光のケーブル用金属備品は世界的にも評価され、海外、有名メーカーの車にも使用されている。2007年には年商13億を突破。雲南市にとっても貴重な世界規模の企業だ。
3代目社長の足立裕之さんは作業員として働き始め、品質管理や生産管理の現場で汗を流していた。フットワークが軽く、気さくに話ができる若き社長だ。しかし、足立社長が見つめる業界の未来は厳しい。電気自動車化の流れは、アナログに動きを伝えるコントロールケーブル市場の大幅な縮小を意味していたからだ。このままでは今の会社規模が保てなくなるのは必至。それまで築き上げてきた確かな技術力を武器に新たなジャンルに乗り出した。金属加工技術は、様々な産業機器、建設部品、医療業界に応用できる。自分たちの強みを見つめ直し、技術を詳しく紹介するWEBサイトを作成。新規販路の開拓に力を入れ、東京ビッグサイトの展示会にも出展。老舗の技術メーカーが今、新たなチャレンジを始めている。
現場を見てきた足立社長は「働き方改革」にも着手。残業を減らし、休みがとりやすいように仕事の平準化を進める。専門的な技術は人の資質への依存度が高かったが、新設備の導入により特殊な作業を減らし、仕事をシェアできる環境を整えていった。「仕事と遊びを両立させろ」という初代社長の教えを実践していきたいと足立社長は語る。試しに年に一度のバーベキューを始めた。社員が無理なく参加できるよう平日の業務時間内に設定。部署を越えた交流が実現した。「日々機械と向き合い仕事をしているので、メリハリをつける意味でも休む時はしっかり休んで、働きやすい職場にしていきたいですね。」福利厚生の充実は製品の品質にもつながる。若い人や女性も働きやすい環境整備に力を入れているところだ。
「日本や世界を走る自動車。多くの方の生活に密着し、人命に関わる重要な部品を45年間、山陰の山間部で製造し続けている会社がある、というのはワクワクしませんか。」ものづくりの誇りを胸に変化を続ける山光は、ともに新たな歴史をつくる人材を求めている。
子育て世代にも優しいものづくりの現場
家から近く、パートでも働けるということで山光で働き始めた鳥谷さん。製造業は初めてだったが、作業自体は簡単なものからスタートし、多少の体力はいるものの、自分が身体を動かして物ができていく達成感を伴う仕事が気に入った。「もうちょっと長く働きたい」と会社に相談。会社も快くその要望を聞いてくれて、正社員となった。
工場は女性も多く働いており、休みや勤務時間の調整も効きやすい。土日が休みというのも子育て世代にはうれしい条件だ。近くに保育園もあり、雲南市は中学卒業まで医療費が無料。「すぐ近くで蛍も見れます。自然も豊かで、子育てするにはいい環境ですよ。山光は社長も子煩悩なので(笑)、いろいろと子育て世代へ配慮してもらっていると思います。」安心して子育てができる環境があるからこそ、仕事にも専念できる。オンオフがはっきりとつけられる仕事だからこそ、社員も生活の設計がしやすく、男女ともに働きやすい環境になっている。
「車を目にすると、ついコントロールケーブルをみるようになっちゃんったんですよね」と笑って話す鳥谷さん。自分が携わった部品が全国どこでも使われているのがうれしく、やりがいになっているという。板についた作業着姿が格好いい。鳥谷さんもすっかり「ものづくり」の人だ。
仕事も融通がきく分、臨機応変に他部署へサポートに入ることもある。柔軟性と根気強さが求められる職場だ。働きやすさと高品汁の両立を目指す山光。鳥谷さんはじめ、社員も一丸となって取り組んでいる。
Q&A 一問一答
Q 営業はどうしているんですか?
A 営業は今、私一人です(笑)。今まで下請け中心で開発部門や営業部門がありませんでしたが、これから力を入れていきます。ぜひ一緒にやってくれる人に来てもらいたいですね。(足立社長)
Q 工場勤務だと夜勤のシフトもありますか?
A 一応、5交代でシフトを組めるようにしてありますが、夜勤のシフトは、ほぼ稼働していません。基本的に日中の勤務です。あとは社員の希望で調整しています。多くは8時20分~17時30分のシフトで、ちなみに鳥谷さんは10時10分~19時20分のシフトですね。(足立社長)
Q 女性で工場で働くことに不安はありませんでしたか?
A 特になかったですね。力仕事がどうかな、と思いましたが、できますよ。体力は必要ですが、体動かすので健康的ですね。女性の割合も多いので、男女どちらでも働きやすいと思います。(鳥谷さん)
Q 足立社長ってどんな人ですか?
A とても話しやすくて、いい人ですよ。愚痴を聞いてもらっちゃっています(笑)。社長さんになる前から知っているので仲良しなんですよ。意見も言いやすいです。全部を把握していて、フットワークが軽いので、相談しがいがあります。(鳥谷さん)
こんな人と一緒に働きたい!
▷元気な人
▷企画力のある人
働く意思があればどんな方でも歓迎です。また、新たな事業の展開を考えているので企画力や行動力がある方はぜひ来ていただきたいです。うちの技術をどう生かし、独自製品を開発し、売り込んでいくか。ワクワクする挑戦を一緒に取り組んでくれる人が来てくれたらうれしいです。
企業概要
株式会社山光
代表者 足立裕之
創 業 昭和49年1月8日
社員数 65名
事業内容 コントロールケーブル用部品の販売
所在地 〒699-1114
雲南市加茂町猪尾297
電話番号 0854₋49₋6543
H P http://www.kk-sankoh.co.jp/
<取材時期>
2018年