自動車部品メーカーが挑む働きやすく創造的なチームづくり
自動車の燃料やブレーキのパイプに使われる重要保安部品「ホースクランプ」メーカーとして国内屈指の実力を誇る協栄ファスナー工業。マツダの全車種に採用され、ホンダ、スズキ、三菱、日産にも取り入れられた技術力は確かなものだ。初代社長で現解消の松本朗は柔軟な発想が飛び出すアイデアマン。建設現場の資材を使い旗を立てる「旗竿のキャップ」や、植樹の結束作業に使え、毎年1万個以上売り上げる人気の「添木結束クランプ」などで特許を次々に取得。技術力とひらめきが冴える雲南市のものづくり会社だ。
2017年8月から、息子の松本悠が二代目社長に就任。経営理念に「ホースクランプメーカーとして“ものづくり”を通じ、人を育み社会に貢献する」を掲げ、電気自動車化等で大きな変化が予想されるこれからに対応するため、“人”に重きを置いて、人材育成と働き方改革に着手。仕事上必要な資格は全額会社負担で、平日でも業務として受講が可能。公益財団法人しまね産業振興財団や業界団体が主催する研修も希望すれば受けることができる。
まずは働きやすい環境整備が欠かせない。残業はほぼなし。これまでの規則を見直し半日単位だった有給休暇を、1時間単位に変更。通院や各種手続きにも対応しやすくなった。社員との個別面談で、社員に寄り添った環境づくりを心掛ける。
「社員が主体的に取り組める環境をつくり、有機的に連携するチームになっていくのが理想ですね。」2018年度のいずも産業未来博(企業・団体・学校を中心に県内外の様々な産業分野の技術や製品が一堂に会する祭典)では、社員主導でブース出展を企画。クランプや金属加工の技術を生かし、遊園地のようなブースで多くの子どもたちでにぎわう出展となった。アイデアを出し合い、実現していくという風土が根付きつつある。
「会社内に地域のニーズや自分たちのしたいことをどんどん実現していく、ものづくりのチームができれば、めちゃくちゃ楽しいですよね。」地域の工場の困りごとにも対応し、部品の修理や現場の改善点を盛り込んだカスタムパーツの製作もしている。こうした地道な努力が地域の信頼を獲得し、自分たちの技術が他業界にも普及する可能性につながる。
様々な器具の施策にも対応し、農業用資材、医療器具、建設機材、アウトドア用品など多彩なジャンルで持ち前の技術を生かしている。ホースクランプを軸に、5期連続の黒字を達成しつつも、二次創業に挑戦中の共栄ファスナー工業。若き松本悠社長は、ものづくりチームの新たなメンバーを求めている。
誰もが働きやすい環境がモチベーションを上げる
朝山さん:前の会社を辞め、40代後半での再就職活動は難しいものがありましたが、製造業で働いてきた経験を活かせるこちらに入社することができました。先輩からの指導を受けた後は、自分なりに計画を立てて右往左往しながらもなんとか仕事を覚えていきましたね。月間の生産計画に基づいてスケジュールを組むわけですが、トラブルになった時が経験を問われますね。何が原因かを特定するのに、リーダーやサブリーダーの助言を得ながら対応しています。専門的な機械と向き合う仕事ですが、機械が好きな人にはもってこいだと思います。大変なところもありますが、土日はもちろん正月、お盆、ゴールデンウィークも休めるのはありがたいですね。オン・オフを切り替えて、気持ちよく仕事にのぞめます。
原さん:出産を機に仕事を辞めていましたが、再就職となる正社員での採用が少ない中、こちらの求人が出てすぐに応募しました。以前の勤め先では持ち帰りの仕事も多く、就業時間もバラバラでしたが、ここは仕事時間がキッチリ決まっているのがいいです。有給休暇もちゃんと取れますし、子どものことで早退したり、急に休みを取らないといけなくなった時にも休みやすい体制を作っていただいていたり、フォローに回ってくれてありがたいです。私は検品の担当です。変形や傷がついた部品を見つける作業は集中力が必要ですが、自分の性格に合っている仕事だと思います。
稲村さん:前職で事務を担当していて、こちらにも事務職で入ったのですが、出荷準備も担当するようになりました。毎日の納品で数を確認しながらテキパキと積み込んでいく必要があります。力仕事に不安はありましたが、少しづつ体力もついてきて身体も健康的になりました。量をこなしていくため、ハンドリフトに加え、フォークリフトの運転資格も取得、扱えるようになりました。8時20分~17時10分の就業時間で、残業もほとんどないので、子育てに助かっています。
Q & A 一問一答
Q 社長はオフは何をしていますか?
A 2012年にUターンしてきましたが、時間ができていろいろなことにチャレンジしています。映画塾、ソフトバレー、幸雲南塾(地域の未来を切り拓いていく人材を育成するプログラム)、空き家活用…。地域に出ていろいろなことに挑戦しています!(松本社長)
Q イチオシの商品はありますか?
A 主力のホースクランプはもちろんですが、添木結束クランプは街路樹の整備等で幅広く使われています。清水建設さんと共同特許も取得し、東京五輪に向け動いています。また、試作中ですがアウトドア用のアイアンテーブルも面白いと思います。(松本社長)
Q どんな研修を受けましたか?
A 社会人としての基礎教養の研修もありますが、特に参考になったのが目視検査に特化した研修です。電気の明るさや、作業台の高さまで細かくアドバイスしてもらい、とても参考になりました。研修での刺激を仕事にもどんどん取り入れていきたいですね。(原さん)
Q 掛合は雪は大丈夫ですか?
A 雪は多いですが、除籍対策がしっかりしているので、通勤に問題はありません。会社も国道沿いになるので、安心して通うことができます。山の中のイメージがありますが、意外と交通の便がいいです。(稲村さん)
こんな人と一緒に働きたい!
▷新たな事業に一緒にチャレンジしてくれる人
▷子育てしながら仕事も頑張りたい人
新たな分野へ事業の幅を広げる協栄ファスナー工業。社長の右腕、左腕となって、ものづくりの可能性を追求する人を募集中です。また、子育て中でも正社員で働ける環境が整っていますので、ぜひあなたの力を貸してください。
企業概要
株式会社 協栄ファスナー工業
代表者 松本悠
創 業 1996年8月
社員数 36名
事業内容 ●自動車の燃料パイプや吸気関係などゴムホース締付用金具部品(ホースクランプ)の製造販売
●新製品の試作・開発
所在地 〒690₋2701
雲南市掛合町掛合2414
電話番号 0854₋62₋9700
HP http://kyoei-fi.co.jp/
<取材時期>
2018年