職員も利用者も「自分らしく」居られるホームをつくる
ウェルライフ三刀屋は2017年12月に開設された住宅型有料老人ホームだ。訪問介護事業所「ライフケアふれあい」、居宅介護支援事業所「こもれびケアプランニング」を併設し、地域に根差し、安心して過ごせる施設を目指す。高見さんは立ち上げに際しソーシャルワーカーの経験を買われ、施設長に抜擢。理想の介護現場を目指し、施設の運営に日々奔走する。
かつて勤務していた長期療養者を対象にした療養施設で見た光景が忘れられないという高見さん。「入浴や食事の介助も最小限。人間らしさより、作業効率が求められることに憤りを覚えました。」そこを辞め一時は別の職に就くが、専門学校や大学で福祉に夢を見て学んできた志が再熱し現場に舞い戻った。
高見さんが大切にするのは「コミュニケーション」と「自発性」。利用者さんが職員と安心してコミュニケーションできるよう個別に話す時間をたっぷりとっている。もちろん、職員同士のコミュニケーションも盛んだ。日頃の雑談や行動から一人ひとりの適性を見つけて配置する。高見さんは誰に対しても腰が低く、職員からツッコミを入れられることもしばしば。話しやすく風通しの良い雰囲気が垣間見える。
施設として季節ごとに行うレクリエーションは、職員たちが自ら企画するものばかり。職員はどうやったら利用者さんに楽しんでもらえるか、いつもアイデアが頭をめぐる。そんなことができるのも、日々の業務に「余白」の時間があるからこそ。職員も利用者も、効率ではなく「自分らしく」主体的にふるまえる場をつくっている。「大変ですけど、やりたいことにチャレンジするって、とっても楽しいですよ。」高見さんの優しい笑顔が手ごたえを感じさせる。
「こうした地域に根差す施設が近くにあることは、住民にとって大きなメリットです。在宅介護が続けにくい家庭では、気軽に会いに行ける居宅介護を選択できます。市のバックアップも大きいですね。各種の相談や申請手続きにもサポートがしっかりしています。後方支援病院の雲南市立病院や平成記念病院とも本音で話ができるし、介護が必要な利用者さんの情報も共有することで、適切な対応を図ることができています。」
今後も一層高齢化が進むであろうこの地域にとって、ウェルライフ三刀屋が果たす役割に大いに期待したい。
細やかな気遣いと小さな行動力が楽しい居場所をつくる
「子どもの頃からの夢が叶いました。」という河口さん。小学校の頃に老人ホームを訪れた時のおじいちゃん、おばあちゃんの笑顔が心に残っていた。いつかは介護の現場に、という想いを抱きながら飲食業で働いていた。ある日、三刀屋にウェルライフが開設されるや、すぐに入社した。「資格がない状態で入ったので思っていた介護ができず、施設長に相談して、資格取得の後押しをしてもらいました。」就職後すぐに介護職員初任者研修も受け、確実に介護の専門家としての道を歩み始めている。
「夏は職員で竹を切り出してきて、そうめん流しをやったんですよ。」レクリエーションでは先陣を切ってアイデアを出す河口さん。時には失敗もあるが、そうめん流しは利用者さんの笑顔も溢れ、にぎやかなイベントになったという。茶道の先生だったという利用者さんの話を聞き、お茶席を設ける企画も実施。施設の周りでグリーンカーテンも育てたアイデアが好評を得たので、次は野菜作りができないかと考え中だ。利用者さんとも企画の話で盛り上がる。そんな前向きに頑張る河口さんの姿を見て、高見施設長は主任の役を任せた。失敗を恐れず、自ら動き、この施設をよりよくしていこうという姿勢はほかの職員にもいい刺激を与えている。
「これからも利用者さんたちが、それぞれのペースでのんびりとしていられる空間をつくっていきたいですね。」一人ひとりの利用者さんに寄り添い、個性やその日の体調を見ながら、その人のペースに合わせて食事や入浴をサポートし、老人ホームでも自分らしくあってほしい。そんな河口さんの想いが、ウェルライフの文化として根付いていっている。
Q & A 一問一答
Q 介護分野に進出された理由は?
A 介護はこれからの時代、絶対に必要とされます。ここで利用者さんや地域のニーズに合ったモデルを作ることができれば、成長が期待できる業界です。2017年12月にスタートしたばかりですが、これからの地域の介護福祉を担えるよう頑張っていきたいです。(高見施設長)
Q 施設長って大変なお仕事じゃないですか?
A 介護の世界で管理職に行きたいというのは少数派かもしれませんが、私は当初から施設の運営に関わりたかったんです。各種調整や運営で大変なところはありますが、理想の施設づくりに向けて、モチベーションマックスでチャレンジ中です!(高見施設長)
Q 他にはどんなレクリエーションを企画中ですか?
A 雲南市は桜がきれいなので春のお花見、秋には紅葉狩りも企画中です。利用者さんが主体でできる、昔ながらの料理を作るイベントもできたらいいなと話しています。そうしたら職員は食べる側ですね(笑)。(河口さん)
Q 日々の仕事はどんなことをされているのでしょうか?
A 毎日、利用者さんが入られている各部屋に行き、だいたい30分ずつおしゃべりをしながら健康状態をチェックします。ほかには食事やお風呂の介助ですね。ごはんはそれぞれペースで食べられます。イベントがなければ、利用者さんは思い思いにゆったり過ごすので一緒に話をしながら見守っています。(河口さん)
こんな人と一緒に働きたい!
▷一緒に学びあえる人
▷人に寄り添える人
介護分野で働く意思があれば、スキルは問いません。一緒に学びあい、共に成長していけたら嬉しいです。また自分のことだけでなく、利用者さんに寄り添いながら、のんびりと居心地のよい場づくりを一緒にしていってくれる方を募集しています。
会社概要
ウェルライフ三刀屋(株式会社ヒカリエ)
施設長 高見康之
設 立 平成29年12月
従業員数 22名
事業内容 ●食事、入浴、排せつ等の介助
●買い物など、利用者の介護
所在地 〒690₋2403
雲南市三刀屋町下熊谷1675₋2
電話番号 0854₋45₋5406
<取材時期>
2018年