片寄佑人さん

 

雲南市への移住のきっかけを教えてください。

長年神戸市で暮らしていましたが、30歳を超えたあたりからもう少しおだやかな暮らしを求めるようになり、都会ではない場所で生活したいと考えるようになりました。とはいえ縁もゆかりもないところで住むイメージは湧かず、生まれ育った島根県へのUターンを考えるようになり、昔から馴染みのあった祖父母の家がある雲南市へ移住相談をしました。祖父母も雲南市へ移住することは喜んでくれましたが、移住相談をはじめて間もなく祖父が亡くなりました。その出来事も雲南市へ移住する大きな理由になりました。

 

仕事はどうやって決められましたか?

祖父母の家には農地があり、昔から祖父が農作業をしている姿を見ていたので、祖父母の農地を活用できたらいいな、活用するとしたら農業かな、とざっくり考えていました。祖父も生前「農業やってみらんか」と言ってくれていたこともあり、移住相談時に祖父母の農地を活用して農業をやってみたいと伝えました。移住前からどんな作物がいいか、農地がどれくらい必要か、産業体験先をどこにするかなど相談に乗ってもらえました。ふるさと島根定住財団の事業『産業体験』の活用を経て、現在はアスパラガス農家を目指して就農準備中です。
美味しいものを食べることは幸せの根源だと思っているので、農作物を生産する農業という仕事に魅力を感じました。人を喜ばせる仕事として農業を選んだのも理由のひとつです。

 

住まいはどうやって決められましたか?

雲南にある祖父母の家は、祖父が亡くなってから祖母が1人で住んでいました。農地も庭も広く、高齢な祖母が管理するにはあまりにも大変で、祖母は施設に入りたいと希望していました。そうなると空き家になってしまうので、農地もあるし農業もできるから自分が暮らしたいと伝えてみたら、祖母も喜んでくれました。家賃もかからないので助かっています。

 

雲南市に暮らしてみた感想を教えてください。

都会では建物が集中して建っていたり混雑している場所がたくさんあり、常に人が隣にいる感じが苦手でした。雲南市は建物同士がちょうどいい距離で建っていて、人混みもなく、全てがちょうど良くて居心地がいいです。自然との距離感が近く、星や植物、動物など自然が近いからこそ見えるもの、知るものも多いです。都会で暮らしている時は24時間何かしらの音が聞こえてきましたが、雲南市での暮らしはとても静かです。特に夜は車の音など人工物の音が一切しないです。
雲南市は山も海も近いので、それぞれのいいところを楽しめるのもうれしいです。食べ物も魚介類なんかは都会と比べて段違いにおいしいです。人もあたたかく、農業をやっていくにも周りの人がとても協力的で助かっています。市役所職員の方のサポートも手厚いです。

 

移住してみて困ったことはありませんか?

ゴミの分別が細かくて面倒くさいと感じます。都会ではこんなに分別がなかったので。草刈りは農業をやっていく上で必要なことなのでやるしかないのですが、家の周りにまで手が回っていません。特に今年は就農準備もあって家の周りに手が付けられていません…。雪は関西では経験していなかったので、移住して初めての積雪はヒヤッとしました。運転が怖かったです。

 

雲南市の就農支援はどうですか?

他県の事例を聞くと、就農に関する資料集めなど自分でやらないといけないそうですが、雲南市では先回りして必要な資料を集めてもらったりと職員の方にサポートしてもらいました。もちろん全てがおんぶに抱っこでやっていくわけではなく、「まずは自分で調べてね」というスタンスなので、自分自身の力で就農に向けて進めていきながらわからない部分は職員の方がうまくサポートをしてくれています。困ったことを相談するとすぐに現場へ駆けつけてくれるので、助かっています。

 

これから地方へ移住を考えている方にメッセージをお願いします。

農業をやってみたいと考えている方は、ピンと来たのであれば実際にやってみないと自分に合っているかわからないので、ぜひやってみてほしいです。情報集めだけやっていても何もわからず、体験してみてやっと自分の中で納得できました。島根県では産業体験制度もあるのでぜひ活用してみてください。
移住するにあたって理想の暮らしがあるかもしれませんが、全部思い通りにいくなんてことは難しいです。もちろん誰もが理想の暮らしを求めて移住しますが、現実ではその地域の環境や周りの人の意見などでイメージしていた暮らしから変化していくことが多いです。変わっていくことを楽しめる人は移住に向いていると思います。変化していくことも移住の醍醐味ですよ。
雲南市へ移住された際には、僕が作るアスパラガス『アスパラン』をぜひ食べてみてください!


 

​片寄佑人さん
2023年3月に兵庫県からIターン
〈2024年10月取材〉