グォンジヒョンさん


地方への移住を考えたきっかけを教えてください。

韓国出身で、大学進学から東京で過ごしていました。長年東京で過ごしたこともあり韓国へ帰ろうと考えていましたが、せっかく日本で暮らしていたのに日本の田舎で生活する経験をしていなかったので、帰国する直前くらいは田舎に住んでみようかな、と思うようになりました。たまたま雲南市に韓国人の友人が移住していたので、2021年5月に旅行感覚で雲南市を訪れました。10日間ほど滞在し、観光地も巡りましたが、地域を散歩したり、スーパーで買い物をしたりなど、日常的な暮らしを経験したことが印象に残っています。


 

雲南市への移住の決め手は何でしたか?

その時に訪れた雲南市での日常がとても印象に残っていて、もう少し長期で滞在したいと思っていたところ、雲南市にいる友人が「じゃあ暮らしてみなよ」と提案してくれました。当時友人は雲南市でゲストハウスを運営していたので、そのゲストハウスの1室を使っていいから長期滞在してみたらいい、と。とりあえず3ヶ月〜半年くらいは滞在して、その後韓国へ帰ろう、という気持ちで雲南市での暮らしがスタートしました。
実際に暮らしてみると、まずは人が優しく、時間的な余裕はもちろん心にもゆとりができ、幸福感のある生活が送れました。生活満足度は東京で暮らしていた頃に比べて格段と高く、ここで本格的に暮らしていきたいと考えるようになりました。永住権も取得していたので、まだ日本で暮らしてもいいかな、と思えたのは雲南市での暮らしがあったからです。


 

現在のお仕事を教えてください。

コンテンツクリエイターとして、雲南市で暮らしている様子を動画やSNS等で発信する事業を展開していく予定です。暮らしを発信することで雲南市へ興味を持ってくれる人を増やしたり、雲南市に関心を持ってくれる人を増やせたらいいな、と考えています。またウェブサイトを作成し、外国人にも雲南市の情報が発信できると、今後インバウンドにもつながっていくのかな、と思っています。とはいえあくまでコンテンツクリエイターなので、コンテンツを必要としてくれる先へつなげていき、活かしてもらえることを期待しています。
他にも、市内の様々な事業所でアルバイト的な働き方をしています。事業所としても社員は雇える余裕はないけれど部分的に出勤してくれる人を欲しているし、私自身も時間に融通が効く働き方ができているおかげでやりたいことに挑めるので、win-winな関係を築けています。雲南市は、そういう柔軟な働き方がしやすい環境です。


 

住まいはどうやって決められましたか?

移住当初は友人のゲストハウスで暮らしていましたが、早めに自分の家を見つけて独立したいと考えていました。SNSなどで家を探していることを投稿してみると、すぐに市内の知り合いから空き家の情報提供がありました。状態も良く即入居できそうだったので、紹介してもらった物件に決めて、現在も暮らしています。


 

雲南市に暮らしてみた感想を教えてください。

まずは本当に人の優しさを感じます!東京では隣に住んでいる人もわからなかったのに、雲南では歩いていたら誰もが挨拶をしてくれます。初めて会う人や登下校中のこどもたちまで。雲南の挨拶の文化には感動しました。いつも挨拶から幸せをもらっています。そして歩いていたら、必ず知り合いに出会えます。車の窓を開けてまで声をかけてくれる人もいます。自然豊かな景色と地域の人たちに癒される日々を過ごしています。
東京ではどこかピリピリした雰囲気の中で過ごしていた気がして、雲南市に移住してからはそんな雰囲気を感じることがなくなりました。むしろ穏やかな気持ちでいられます。人の優しさに触れる機会が多いです。都会に住んでいる人にはぜひ感じてもらいたい優しさです!


 

移住して困ったことはありませんか?

韓国へ帰省することを考えると少し不便に感じます。距離的には近くなりましたが、米子空港まで行く必要があり、便数も少なく、そして実家のあるまちの空港への直行便がありません。東京では直行便があったので…。
免許を持っていないので、車でしか行けない場所へ行く場合は誰かに送迎をお願いしないといけないです。東京の友人が遊びに来てくれることになっても、出雲空港から雲南市までの交通機関がなく、いつも困っています。困っていることといえば、交通機関の関係がほとんどですね。ですが、送迎に関しては雲南市の友人たちが協力してくれるので、実は解決しています!ここでも人の優しさに助けられています。
あとはなかなか住める家が少なく、困りました。空き家は多いですが手直しする必要があり、即入居はなかなか難しい物件が多いです。


 

これから地方へ移住を考えている方へメッセージをお願いします。

自分の経済的な軸をあらかじめ持っていると、移住後も暮らしやすいと思います。家賃が安かったり食材をもらえたりするので、移住前と収入が大きく変わらなければその分自分の趣味や自由時間に使えます。
あとは、自分から地域の人と関わっていくことをオススメします。地域の人と関わることで楽しい出来事がどんどん増えていくし、助けてもらう場面がたくさんありました。地域の人との会話や助け合いからもう一歩踏み込んだ先の関係性が築けます。地域の人たちはシャイな方が多いです。だけど、移住者のことを気になってはいます。だからこそ自分から積極的に関わっていって、地域の人たちとともに楽しい暮らしをしてほしいです。



 
グォンジヒョンさん
2023年3月に東京都からIターン
〈2024年4月取材〉