三輪信介さん

 

 

地方への移住を考えたきっかけを教えてください。

学生の頃から地方へ興味を持っていて、漠然とですが「地方で暮らしてみたい」という気持ちがあり、大学からは実家の東京を出ることにしました。大学院時代は、地方へ旅をすることも多く、全国のJR路線の乗車を制覇しました!もちろん、木次線も乗車しましたよ。
大学院修了後は日本郵政株式会社で勤めることとなりました。郵便局は全国各地に存在するもので、地方と密に関わる場所だと思い、魅力を感じたことがきっかけです。会社でも「喜んで地方へ行きます!」と伝えていましたが、なぜか希望通りにはいかず、長らく関東圏での異動しかありませんでした。地方で暮らしたい思いとは裏腹に、なかなかきっかけが見つからない状況でした。

 

雲南市への移住の決め手は何でしたか?

会社の中で、社員を地方でチャレンジしている会社等へ派遣し、地域課題解決を目指した新しいビジネスを生み出すプロジェクト『ローカル共創イニシアティブ』が立ち上がり、地方で働ける絶好の機会だと思って1期生募集に手を挙げました。当時、一緒にプロジェクトを推進する地域は5地域で合計8ヶ所あり、プロジェクトの内容を確認して希望の地域、希望の派遣先を選ぶことができました。その中に雲南市があり、地域資源循環のプロジェクトを行う人材を求めていて、そのプロジェクトに惹かれて雲南市を希望しました。

 

現在の仕事を教えてください。

NPO法人おっちラボに派遣され、雲南市のチャレンジの推進を行っています。自分が現在関わっているチャレンジは大きく分けると2つあります。
1つ目は、三刀屋町飯石地区での鳥獣害対策です。飯石地区では地域全体で鳥獣害対策の取り組みを行っておられましたが、昨年度おっちラボよりデジタルでの対策を提案しました。現在、飯石地区の皆さんと『うんなんケモナビ』というアプリを運営し、地域の皆さんが無理のない範囲で対策できることを一緒に考えています。『うんなんケモナビ』は昨年度の『Digi田甲子園(様々な主体がデジタルの力を活用して地域課題の解決等に取り組む事例を表彰する取り組み)』で審査委員評価8位に入賞するなど、全国的な評価もいただきました。
2つ目は、大東町久野地区での農業の担い手不足対策です。農業をやる上で必ず出てくる交付金の申請など、事務仕事が負担になっているのではないかと考え、地区内の各集落単位で担っている事務機能を集約するプロジェクトを考えました。農業をする人たちの負担を軽減できないか、そして負担が軽減されたら農業の担い手も確保できるのではないか、さらに余裕ができれば農地や山林の活用をどうしていくか考えることができるのではないかと、地域の皆さんと一緒に考えています。

 

住まいはどうやって決められましたか?

せっかく地方で生活するなら空き家に住んでみたいという希望はありましたが、すぐ住める家がないことや修繕にお金がかかることなど、ハードルが高いことがわかり、即入居が可能な民間アパートへ入居しました。ただ、民間のアパートは争奪戦でした。希望の物件を見つけたら1日でも早く問い合わせしないとダメですね。

 

雲南市に暮らしてみた感想を教えてください。

人があたたかいまちだな、と感じました。自分の周りの皆さんが気にかけてくれて、声をかけてくれることで元気をもらえます。野菜やお米のお裾分けをもらうなど、本当に優しくしてもらっています。
現在僕が住んでいる地域には、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンターなど全てが徒歩5分圏内にあります。実は雲南市、日用品を購入する分では東京より便利です。東京のように1つひとつが散らばっておらず、1ヶ所にぎゅっと揃っているのは助かっています。そんな雲南市街地に住んでいても、自然の豊かさを感じます。趣味がウォーキングなのでよく歩きますが、星空やホタルなど、都会では見ることのできない景色に癒されています。
そしてお米がとっても美味しいです!ふっくらと粒立ちのいいご飯が炊けることに感動しています。地元の皆さんはこの美味しさが普通だと思っているかもしれませんが、都会のお米と比べると全然違いますよ!

 

移住してみて困ったことはありますか?

冬の積雪量には驚きました。移住して初めて迎えた冬は、除雪作業の手順がわからなかったです。例えば朝、車に乗って出勤しようと思っても車に雪が積もっているので雪をおろさないといけない。そして駐車場から道路までの雪をかかないといけない。除雪作業は、慣れるまで時間がかかりました。
基本的には車がないと生活できないので、免許がない人やペーパードライバーは困ると思いました。僕自身も13年ぶりに運転をしたので、最初はドキドキしながら運転しました。日用品を購入する分には雲南市内で充分ですが、服や靴を購入しようと思うと市外へ出かけるしかありません。なので車は必要ですね。

 

これから地方へ移住を考えている方にメッセージをお願いします。

地方といっても日本全国様々な地域があるので、気になった場所はどのような場所なのか、一度自分の目でしっかりと見て、地域を体感することが大切だと思います。僕も雲南市への派遣が決まる前に雲南市を訪れて、より雲南市を好きになりました。
地方での暮らしは今までの暮らしと異なることが多いので、どうしても暮らしていく上での難しい面が出てきます。事前に市役所に聞いてみると、良い面だけでなく難しい面もしっかりと教えてくれます。難しい面の情報収集はとても大切だと思うので、オススメします。
新たな場所での生活は「この場所を好きになろう」という意識がどこかにあるものだと思っていましたが、雲南市はそんなことを意識しないまま好きになりました。何かきっかけを求めなくても、日常の中にほっこりするエピソードがある、そんな雲南市での暮らしが僕の癒しです。


 
三輪信介さん
2022年4月に東京都からIターン
〈2023年10月取材〉