空き家を探す

2024年07月24日
ぽんぽこ仮面

はじめてインパクトドライバーを握った日

 
 とある日の自治会の集まりで、社会部の方から『キエーロコンポストづくり体験会』が久野交流センターで行われることが発表された。それもまた、参加費も材料費も無料だという。太っ腹である。簡易的なチラシの申込欄に名前と電話番号を記入したが、キエーロコンポストとは何たるか、よくわからずに申し込んでいたということは言うまでもない。無料という言葉は怖いものである。
 
家に帰って、しっかり調べてみた。
 
 

▶キエーロコンポストとは
もともと土の中にいるバクテリア(細菌)と太陽光を利用し、生ごみを分解する生ごみ処理容器のこと
 
▷キエーロコンポストの特徴
✓生ごみをどれだけ入れても分解されるので、土の量はほとんど増えない
✓土をかぶせるため、生ごみ特有の匂いがほとんどしない
✓匂いがほとんどしないため、虫がわきにくく、獣被害もほとんどない
 
 
出典:うんなんコミュニティ財団「作ってみようキエーロコンポスト」より 
 

以上のようなことが分かった。毎年、梅雨から夏にかけての生ごみの処理には頭を悩ませ、鼻をつまむ毎日であったが、これはステキでスバラシイ木の箱ではないか。東京では作ったとて置く場所もなかったが、今は古民家に住んでいるわけで、置く場所に困ることもない。申し込んでおいた、自分を褒めてやりたくなった。
 
 さて、当日。キエーロコンポストを自分たちで製作するにあたり、インパクトドライバーの使用が必要だったのだが、これまで生きてきた中で、インパクトを握ったことがない。うまくいくか急に不安が押し寄せた。参加者数もセンターがいっぱいになるくらい人で溢れ、この中で一人失敗したらこの上なく恥ずかしいと心が縮こまった。
 

 しかし、始まってみれば、同じ自治会の社会部の方や隣の自治会の方で一緒に田植えをやった仲の優しいおじさんがインパクトの使い方を丁寧に教えてくれ、見事自分でキエーロコンポストを作り上げることができた。自分でものを作るということはこんなにも達成感の溢れるものか。この日ばかりは、額いっぱいにかいた汗が心地よく感じた。
 
 完成したキエーロコンポストを家に持ち帰り、早速使ってみると、本当に匂いもほとんどせず、10日ほどもすると生ごみが分解されて、消えてなくなっている。これは見事だ。生ごみをキエーロコンポストの土の中に埋めるのだが、この埋める作業が楽しくなって、毎日欠かさず生ごみ処理をするようになった。キッチンに嫌な匂いが漂うことのない、梅雨と初夏を過ごすことができ、大満足である。
 
 そしてこの体験会で、もうひとつ得たことがある。製作体験に入る前に、環境問題についての映像研修があった。環境問題についての資料やデータをゆっくりとみることは、社会人になってからというもの見た覚えがない。学生以来かもしれない。関心がないわけではなかったが、なかなか機会がなかった。今回の映像でよく覚えているのは、生ごみの焼却処理に多大なエネルギーがかかっており、CO2の排出がされているということだ。こうした大きな問題でも、一人ひとりが自分事化して、小さなことでも取り組んでいくべきなのだということを学ぶ良い機会になった。
 

 キエーロコンポストは、生ごみの焼却をすることもなく処理ができるため、CO2排出もされず環境にも良いようだ。それでいて、埋める作業が楽しいとなるとこんなに良いことはない。キエーロコンポスト、おそるべし。
 



【ライター紹介】
ぽんぽこ仮面。京都府与謝野町出身、9年間東京で過ごした後に雲南市へ。
お風呂すき。サウナすき。キャンプすき。
毎日わくわくした大人でいたい教育業界の人。