うちは田舎の小さなお菓子屋です。
そんな田舎のお菓子屋に、毎月一度だけご来店下さるお客様がいます。
女性の方で年齢は多分80代後半かと思われます。
月に一度、近くの美容院で髪を綺麗に整えられその帰りに当店に寄られます。
グレイヘアが綺麗にセットされ素敵です。
その方は車を運転されないので、美容院へは、そこの美容師の方が送り迎えされているようです。
そして帰りに当店に寄って、その美容師の方へお礼と自宅用のお菓子を買われます。
私が「○○さん、素敵になりましたね」と声をかけると
「名前、憶えとってくれたかね。何歳になってもそう言われるとうれしいもんだわ」と、笑顔が素敵です。
やはり何歳になっても髪を綺麗に整え、お出かけをしていろんな人と話すことは楽しいものです。
私もいつか運転免許証を返納する日が来たら送迎してもらえる美容院に通いたいと思います。
それからそのお客様は、たびたび当店に配達依頼のお電話をされます。
「悪いけどお客さんが来るから殿様プリンを届けてくれんかね」
※当店のプリンの商品名は『王様プリン』ですが、何故か和風変換され『殿様プリン』とより厳かなかんじに…
もちろん何度も配達していますのでご自宅も把握済みですから、すぐに配達させていただきます。
田舎は交通インフラが都会ほど充実しておらず、車は必須になってきます。
が、田舎ならではの思いやりや工夫でその不便も楽しめるようになります。
余談ですが以前、近くのスーパーの買い物帰り、雨が降り出し帰りに困ってたご年配の方をご自宅まで車で送ったことがありました。
多分当店に来られたことがあったのか、後日ご自分が育てた野菜が届くというありがたいこともありました。
時折、街中で実施されるスローモビリティの実証実験
こちらにも微かな期待を寄せています。
【ライター紹介】
そら豆。岐阜県出身。結婚を機に雲南市に定住。
そろそろ雲南市での生活の方が長くなります。
出雲弁検定があったら1級がもらえる自信あり。