空き家を探す

2021年08月04日
りなぴ

私らしい移住支援


雲南市に孫ターンして4年目を迎えました。
ということは、市役所で移住支援の仕事に就いて4年目を迎えたことになります。

当初は右も左もわからず、上司や先輩の背中を一生懸命追っていた私も、4年目となると自分なりの支援の仕方がわかってきたような気がしています。

1年目を振り返ると、ものすごい葛藤や苦悩がありました。

今日はそんな私の移住支援ヒストリーをちょこっと真面目に語っちゃうコラムになりそうです。

 

元々大学生ごろから「移住支援がしたい!」という想いを持っていたので、今の仕事はまさに“念願叶って”できている仕事です。

そんな夢見た仕事だったからこそ、大きな壁に苦しめられました。



<立ちはだかる壁その①>
移住希望者にとって雲南市への移住がハッピーだとは限らない

私は自分が生まれ育ったこのまちに「移住をしたい!」と思ってくれる人の支援を全力でしたいと思っていました。

ですが、移住希望者さんだって様々な希望や理由を抱えて移住相談をされるのです。

話を聞いていると、
「もしかしたら雲南市よりも○○町の方が理想の暮らしができるかも…」
「この人が求めている仕事の求人、雲南市では出ていないけれど○○市にはある…」
と、必ずしも全ての移住希望者さんが雲南市での暮らしとマッチングするわけではないということに気づきました。

でも気づいたからといって「じゃあ○○町、○○市はどうですか?」とは言えず、どうにかこの人が雲南市での暮らしとマッチングしないだろうかと考えてしまいました。

なぜなら、私の中では「移住希望者さんは雲南市に移住したいと言ってくれているのだから、理想の暮らしと雲南市がマッチングしなくても、雲南市に住みたいという想いを大切にしたい」という理論が出来上がっていたからです。
それが移住希望者さんにとっても一番ハッピーなかたちだと思っていたからです。

そしてそれが私の全力の移住支援だと思い込んでいたからです。

完全に「夢見た仕事」に夢を見すぎていたのだと、今となっては思います。

たとえその人の移住希望先が雲南市だったとしても、希望の暮らしと合わなければ「住みたい場所」と「理想の暮らし」とのギャップに悩み、最終的に雲南市から転出してしまうかもしれない。
雲南市での暮らしも失敗した思い出として残ってしまうかもしれない。

一度は住みたいと思ったまちだもの。
「暮らせなかったけど、やっぱり雲南市っていいまちだな」と思ってもらう方がハッピーじゃないか。

様々な経験や頼れる方々のアドバイスを参考に、今では移住希望者さんが描く理想の暮らしを最優先に、移住支援を行っています。
たとえ移住先が雲南市ではなかったとしても、一度移住支援した方とはごはんを食べにいく関係になったり、お互いのまちの情報を交換したりする仲間になっています。

出会えたご縁を大切にしたいし、何より私が大好きな雲南市を好きになってほしい。
結果が移住ではなくても、私らしい支援ができていると自信になっています。
何より新たな出会いにいつもワクワクしています。



<立ちはだかる壁その②>
都会で暮らした経験がないから「都会あるある」や「都会と田舎のギャップ」話についていけない

移住支援がしたいと思った私は、「田舎への移住」という経験を積むために愛知県の人口1000人の村へ移住しました。

女性単身での移住、初心者の農業、狩猟免許取得、自治会加入、移住2年目での自治会長、地域おこし協力隊…
この経験を雲南市での移住支援に生かす!!!と自信をもって孫ターンしました。

いざ移住支援をしてみると、私にはもうひとつ足りない経験があることに気づきました。

それは、「都会で暮らす」という経験。

ほとんどの移住希望者さんは都市部から田舎への移住を検討されています。

移住をしたいと思ったきっかけも
「季節をしっかり感じられる自然豊かな風景に囲まれていたい」とか
「おいしいお米、おいしいお水、新鮮な野菜が食べられる」とか
「満員電車で通勤したくない」とか
「コンクリートだらけの生活はもうたくさん」とか…

都会暮らしを経験したほかの職員は大共感。
しかし、私にとってはあたりまえの日常すぎて、「わかります!」とはならず。

その瞬間、自信喪失。
田舎へ移住して修行して経験積んだのに、まだ足りなかった…。
当時は、移住支援をする人間として必要な経験を全て積んできたと勘違いしていたようで。
心がポキっと折れてしまいました。

でもそんなとき、ある移住者さんからこんな言葉をもらいました。

「自分も女性ひとりで縁もゆかりもない雲南市に移住を決めて、経験のない農業という職に就いて、不安だらけだった。でも、定住企画員としていつでも相談できる人がりなぴだったから、りなぴも同じ経験をした人だからこそ、今こうやってうんなん暮らしを楽しんでいる。」

この言葉にとっても救われました。

移住支援に必要な経験とか、正解はないと気づきました。
だって、本当に様々な理由や希望で移住希望者さんはやってくるので。
私たちも支援することで新たな経験を積む。そうやって支援の幅が広がっていく。

いろいろな移住者がいるように、移住支援者だっていろいろな人がいます。

地元のことなら何でも知っている人や
自分もIターン者で移住者目線を持っている人、
農業にめちゃくちゃ特化している人、
子育てのことなら何でも知っている人…

私は私らしい移住支援をしていきたい。
足りない部分は、ほかの職員に補ってもらいながら。
都会暮らしがわからなくても、田舎に移住した経験は私の最大の強み。
私だからこそ共感できる話や、私だからこそ話せることがある。

今は「私だからこそ」を存分に生かして支援ができていると、自信をもって仕事をしています。
 

4年目を迎えてもなお日々勉強、日々経験。
移住希望者さん一人ひとりとの対応が、私を移住支援者として成長させてくれます。


皆さんの理想の暮らしができるよう、今日も私らしい支援でがんばります!



 

【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。