空き家を探す

2021年05月12日
りなぴ

農業に憧れを持っている人に読んでほしい話。


以前『古民家暮らしに憧れを持っている人に読んでほしい話。という記事を更新しました、りなぴです。

思った以上に反響があり、移住希望者さんからは「住まいを決めるうえで参考にさせていただきます」と、すでに空き家へ移住された方からも「その通りだしこれからも肝に銘じたい」という反応をいただきました!ありがとうございます。

反響がうれしかったので、今回は『○○に憧れを持っている人に読んでほしい話』シリーズ第2弾。



移住希望者さんのお話を聞いていると、よく耳にする言葉が「農業をやってみたい」。

自然に囲まれて、汗をかいて、身体にも心にも野菜にも優しい農業がしたい、とか。
そんなに稼がなくてもいいから、自分が生きていくうえで必要な食糧は自分で育てる自給自足の暮らし、とか。

田舎イコール農業。
とても素敵なイメージが湧いてくること間違いないでしょう。



でも、現実はそう甘くありません。



今回は農業に憧れを持っている人に読んでほしい、農業の現実についてお話します。
(こう見えてトマト農家の経験、ありますから。)



 

まず皆さん、『農業』という言葉について考えてみましょう。

“農”を“生業(なりわい)”とすることを『農業』と言います。
生業(なりわい)の意味は、「生活を立てるための仕事。家業。職業。」と記載されています。

ようするに『農業』は「“農”で生計をたてること」を意味します。



前述したような、自給自足とか自然に合わせた暮らしとかは、なかなか『農業』として成立させることが難しいのです。
(中には上手くやっておられる方ももちろんおられます。)

そうでなくても農業というものはとても難しく、正直、未経験者が気軽に飛び入り参加できるような仕事ではありません。

それなりの経験と知識があっても、天候相手には勝てません。
植物も病気になるし、強敵の虫だって田舎に行けば行くほど多い。
獣の被害に遭う可能性だってあります。

生半可の気持ちで農業はできません。



とは言っても、移住希望者さんのほとんどが農業未経験者です。
農業に関心を持たれる気持ちも、とってもわかります。

今までお話した『農業』の意味をしっかり理解され、それでも農業が気になる方に向けて、より具体的に農業のお話をしましょう。

 



まず、農業を始めようと思っている方に聞く質問が2つあります。



①「野菜ですか?水稲ですか?花木ですか?果樹ですか?養鶏ですか?畜産ですか?」

この質問も本当はさらに細分化されるのですが、一応大まかに。
大きく農業と言えども、分類される農業はこんなにもあります。

この質問をすると、大体皆さん「え?考えていなかったです…」と言われます。
未経験者からすれば、農業って野菜かお米くらいしかイメージないですよね。

農業を仕事として紹介するには、まずどの分類の農業に興味があるのかわからないと事業所も制度も紹介できません。
なので、ある程度希望の分類を絞っていただくことが必要です。



②「雇用就農希望ですか?独立就農希望ですか?」

この質問はイメージ湧くと思います。
要するに就職するか、起業するか。

この質問に関しては、ある程度移住希望者さんの中でも答えが固まっていることが多いでしょう。

ただ、この質問に回答してもらっても、どちらにしても「難しいですよ」とお返事することとなることが多いです。

「雇用を希望します」と言われても、雲南市で雇用をしてくれる農家さんは少なく、また募集のタイミングにもよります。
「独立を希望します」と言われても、まず未経験者が独立するには知識不足過ぎるし、農業で独立するにはかなりの額の初期投資が必要です。

「え…じゃあどうしようもできないじゃん」と思われるかもしれませんが、もちろん「雇用の募集がないから無理です」とか「独立するには知識もお金もないから無理です」と言って突き放すなんてことはしません。

「農業を真剣にやりたい」という気持ちがあれば、私たちも様々な可能性を探ります。

雇用希望の場合は、市内の農業法人を回って聞き取りしたり、独立希望の場合は、研修制度や使える補助金を紹介したり。
希望の就農になるよう、サポートします。

 


農業って本当に難しいです。
難しいからこそ、厳しいことを言わせていただきます。

融資が返済できるほどの売り上げにならないとか、病気で野菜が全滅して収入ゼロとか、あまりにもハードすぎて体力的に続けることが難しいとか…
本当によく聞く失敗例です。

移住支援をする立場として、そんなつらい思いをしてほしくないのです。



私も農業経験者ですが、確かに農業は気持ちいいです。いい汗かきます。
自分が育てた野菜は何よりもおいしいです。育った時の喜びは半端ないです。

でも喜び以上に過酷でもありました。

真夏のハウスの中は50℃。
低い体勢での作業。
朝4時からの収穫。
刈っても刈っても生える無限ループの草刈り。

ちょうど、喜びと過酷が半分な感じ。



農業に興味を持っている方、まずは『農業』を具体的にイメージすることから始めてください。
経験上、イメージがふわっとしたまま農業を始めた方がやめていくような気がしています。

イメージをするために、農業法人を案内したり移住者の先輩農家さんを訪問したりと、こちらもいろいろと提案させていただきます。



と、今回も散々「農業って難しいよ」って話をしましたが、移住希望者さんの「農業に興味がある!」という気持ちをまず第一に尊重しますので、今回のコラムを読んで農業のイメージが湧いてきた方には希望の就農ができるようサポートします!!!



本気で農業を目指す方は全力でサポートしますので、いつでもご相談ください♪






【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。