空き家を探す

2021年03月25日
りなぴ

古民家暮らしに憧れを持っている人に読んでほしい話。


定住企画員として移住希望者さんのサポートを始めて4年目を迎えようとしています。
3年間で様々な移住希望者さんを対応してきました。

移住希望者さんの暮らしの理想で、特に多いのは
「空き家となった古民家でスローライフを送りたい」。

わかります。
私だって松江市で暮らしていた家は新築のおうちだったし、
その後ひとり暮らししていたのでアパート暮らしだったし…。

私も昔からずっと、雲南市の祖父・祖母が暮らしているような
古くてもあたたかみのあるおうちで田舎暮らしをしたいな~という憧れがありました。

でも、実際に雲南市に孫ターンして築80年以上の古民家に住み気づいたこと、
空き家バンクに登録している様々な物件の契約に立ち会って気づいたこと、

それは…

空き家となった古民家で生活することは相当な覚悟が必要だということ!!!



「何を大袈裟な」と思っているそこのアナタに読んでほしい、本日のコラム。
ここからがスタートです。


 

大前提として、雲南市の空き家バンク(https://www.hokkori-unnan.jp/akiyabank/
には、賃貸物件と売買物件があります。

では、「空き家に住む」にはどのような覚悟が必要か
私の経験から感じたこと・わかったことをお話します。



(1)修繕は買っても借りても入居者の負担

基本的に空き家バンクに登録されている物件は、現状有姿での売買・賃貸です。
いくら修繕箇所があっても、基本は購入者・入居者の負担です。

買っても借りても、修繕は自分でやらなければならない。

となると、購入すると自分名義の物件になるので、好きなように改修できる。
逆に賃貸だと、大家さんの物件なので、修繕にも制限がかかってしまう。



(2)家賃が安くても初期費用が安いとは限らない

「初期費用を抑えたい」「家賃が安い物件がいい」
といった理由から、まずは賃貸の物件を希望する方が多いです。

(1)でも話したように、賃貸であっても入居者が
修繕の負担をしなければなりません。

そして家賃が安ければ安いほど、
状態が悪い物件であることが多いです。
(ごく稀に状態が良くて家賃の安い物件が登録されることも。)

って思うと、修繕で初期費用が莫大にかかった上に
いつまで住むかわからない賃貸物件に家賃を払って住むというのは
なかなかの支出になりますよね。



(3)そもそも即入居できる物件がほぼない

そもそも空き家バンクに登録されている物件で
修繕しないで入居できる物件なんて本当に本当にほんとーーーっに!少ないです!

修繕はほぼ必須だと考えてもらわないと、入居してから
「あれ…こんなところに不具合が…」という状態に。

見た目がかなりきれいな状態の物件でも、
給湯器が故障していたり、雨漏りしていたり、
シロアリがきていたり、動物が住みついていたり…。

こういう見えない不具合が一番厄介なので、
お金をかけてでも住む前に確認しておく方もおられます。



(4)庭や畑の手入れは想像以上に大変

庭のある古民家や家庭菜園に理想を抱いている方がおられますが、
理想とは裏腹に、想像以上に管理が大変ですよ…。

庭は、定期的に草取りをしないと家の景観が悪くなる。
庭木の剪定にはそれなりの道具が必要だし、未経験者には難しい。

雲南市には全国でも珍しい『農地付き空き家』制度があり、
空き家と一緒に農地(畑や田んぼ)を取得することができます。
(一般的に農地は購入できないのです)

なので畑や田んぼを手に入れることはできますが、
庭以上に大変なのが、農地の管理です。

とりあえず取得して、放置…なんてことは言語道断!
すぐに雑草畑になってしまう上に、周りの農地にも虫や雑草の被害が。

夏場は二週間に一回以上の草刈りが必要になります。
この大変さは味わった人にしかわからないかも…。



(5)近所付き合いが密

三密を避けて暮らす世の中ですが、田舎の近所付き合いは“密”です。

例えば、自治会の常会が月に一回あったり
夏場は日曜日の朝早くから草刈りや溝掃除に駆り出されたり。

私からすると、これはデメリットでもなければ覚悟をすることでもなく
地域の景観を守ったり地域を維持していくには必要なことだと思っているし、
むしろ地域とのつながりを感じられるメリットに感じていますが、

都市部から移住された方からすると、
今までになく密なつながりなので、かなり衝撃を受けられます。

空き家に入居された方で、長く暮らしておられる方は
地域との付き合いを理解し、楽しんでもらっている印象があります。

強制的なことではありませんが、せっかく田舎で暮らすからには
ご近所さんとも仲良く暮らしたいですよね。
仲良くなったら、野菜が定期的に届いたりします(笑)。



と、私が感じた空き家に住む上で必要な覚悟についてお話しました。


 

「この話を聞いたうえでも空き家に住みたい!」とお考えの方には
雲南市で空き家に暮らしている方々のお話を聞いてもらうようにします。

空き家を購入し、しっかりリフォームして住まれた方、
賃貸だけどたまたま状態のいい物件に出会って修繕せずに入居できた方、
賃貸でも結構な額の修繕を行った方…。
様々な購入者・入居者がおられます。

そんな空き家暮らしの先輩方の話を聞いて、
イメージをしてもらうことが大切だな、と思います。



また、最近多いケースでは、空き家に住みたいけど
いきなり空き家に住むのではなく、公営住宅や民間アパートに住んで
雲南市の地形がわかったり暮らしに慣れてきたころに
空き家への入居を決められる方が増えてきました。

このケースはとてもオススメです!

雲南市は東京23区とほぼ同じ面積で、かなり広いです。
自分たちのイメージする暮らしと合う地域がどこなのか、
暮らしてみないとわからないというのが現実です。

移住当初は住む場所も変われば仕事も変わるわけで、
まずは安定した暮らしを確保することから始めたい。
空き家だと住んでから不具合が出ることも多いので、
なかなか安定した暮らしができない可能性もあります。

アパートで仮暮らしをしながら、自分の理想に合う空き家を探し、
見つかったタイミングから空き家暮らしをはじめる。

とってもオススメです!!!



と、散々「空き家に暮らすって相当な覚悟がいるよ」って話をしましたが
移住希望者さんの「空き家に住みたい!」という気持ちをまず第一に尊重しますので
今回のコラムを読んで、空き家のイメージが湧いてきた方には
理想の空き家と出会えるようサポートします!!!



空き家に住みたい方は、うんなん暮らし推進課に相談してみてください♪





 

【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。