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協栄金属工業株式会社

地域で生まれて半世紀、多様な個性が集まり歴史を創る


雲南市掛合町に本社を置く協栄金属工業。取引先は山形県から福岡県まで全国80社以上で、厨房機器や農業機械など、およそ5000種類を超える金属部品の製造をしている。元々は掛合町が過疎地域の雇用対策として誘致した大阪のメーカーが、昭和46年に造った工場だった。円高不況により閉鎖されたが、「過疎地域の雇用を守りたい」という願いから、地元の有志が出資しあい、昭和47年に今の会社として創業した。
そんな同社の3代目の社長が小山久紀氏だ。就任したのは平成22年。なんと入社4年目の時だった。社長就任前の平成19年ごろから、会社はリーマンショックなどによる影響で受注が大幅に減少。売り上げはピーク時の半分にまで落ち込み倒産の危機にあった。当時総務部長だった小山氏は再建計画に奔走。そんな中での社長就任要請に戸惑いがあったが、ある光景を目にして決意をしたとういう。「忘れ物を取りに夜遅く会社に戻った際、何人もの社員が納期に間に合わせようと工場で懸命に作業をしていたんです。リストラや給料カットもしていた最悪の状況の中で。その姿を見たとき、こんな社員とだったら絶対に再建できる!と直感しました。」今では約4000坪の広大な敷地に6つの工場と1つの検査社屋を完備。120台以上の大型機械を保有し、同業界では山陰地方で最大級、中国地方でも5本の指に入る規模の会社となった。「充実した設備と長年にわたり培ってきた技術によって、材料調達から設計、加工し、完成品として納入するという『一貫生産』が当社の強みです。」
社員の定着率も高い協栄金属工業。その秘訣はどこにあるのか。「“個性を生かす”ということを重視しています。好きなこととできることは必ずしも一致しません。好きでないことでもできる仕事を徹底的に伸ばしていけば、みんなから期待され必要とされ、結果、仕事にやりがいが生まれます。何でもできる人ではなく、一つでも飛びぬけたところがあればそれで良いと思っています。」
その言葉通り協栄金属工業には様々な個性が集い、障がい者雇用も8.76%と非常に高い。年間に80回社内社外県封を実施し、資格がなくとも入社後にスキルアップができ、各部署の上司が適材適所を見極める。「足元だけを見ると経営は順調ですが、リーマンショックから10年経った今、同じような○○ショックが起こるとも限りません。外部環境の変化に柔軟に対応できるよう、常に備えておかなければと思っています。」

 

過ごしやすい雰囲気の社内で、着実なスキルアップ!


高校を卒業後、新卒で入社した園山徹さん。地元の出雲市で就職も考えていたが、掛合町に住む祖母の話を聞いて協栄金属工業に興味を持ったという。「昔、祖母が協栄金属工業で勤めていたんです。近所の人も一緒に働いていたそうで、社員同士が仲がいいということを以前から聞いていました。」
聞いていた話の通り、入社後も良い印象は変わらなかったという。「上司がいい人ばかりで過ごしやすいです。僕は人見知りをするのですが、先輩から話しかけてくださるので、仕事のことも相談しやすいですね。」今年で入社6年目を迎える園山さんは製造部の所属。他部署からくる部品を機械で溶接する仕事をしている。高校では物づくりや工業系の勉強はしていなかったが、スキルは全て仕事現場で身に着けた。フォークリフトの資格も入社後に取得し、溶接に伴う業務の幅も広がったという。「今では結構仕事を任されたりもします。初めて扱う部品について、自分でデータを入力したり、どういう風に組み立てればいいかなと図面を見ながら考えて作業をしています。自分でやっているなという気持ちになれます。」
プライベートでは、歳が近い会社の先輩や後輩と過ごすこともあるという。「共通の趣味があるので、イベントがあるときは一緒に大阪や東京に行くこともあります。飲みに行ったりもしますが、仕事の話はほとんどしないですね(笑)。」
これからも協栄金属工業で勤めていきたいという園山さん。46年前、掛合のためにと創業した協栄金属工業。祖母から孫へ、掛合に根付いた熱い想いはこの地でしっかりと受け継がれている。
 

Q & A 一問一答


Q 職場体験学習などにエントリーされていますが?
A まずはこんな会社があると知ってもらおうと雲南市内の中学校が実施している『夢』発見ウィーク(キャリア教育の一環として中学生が市内の事業所で働くプログラム)や高校、高専、障がい者などの職場体験学習の体験先として参加しています。その他にも行政実施の企画や、市内の中学校や高校などで講演もしています。このような活動がきっかけで、入社してくれた社員も数多くいます。(小山社長)

Q 協栄金属工業の社名の由来は?
A 「協栄」という会社名には、「株主(地元の有志)」「地域」「社員」の3つの力を合わせ、地元で繁栄する会社になろうという再建時の想いが込められています。リーマンショックの大変な時期に社員一丸となって頑張れたのも、そんな想いが社員一人ひとりにあったからなのだと思います。(小山社長)

Q 取引先はどのような企業が多いのでしょうか?
A 主に暖房機器や農機具、食料品関係の会社様が多いですね。外食と農業関係が当社の売り上げの70%を占めています。TPPをはじめ外部環境の変化に影響を受ける可能性もあるので、子法活動などを通じ、現在様々な業種にもアプローチしています。(小山社長)

Q 今後仕事でやってみたいことは?
A 今年で6年目になるので、人に教える立場になったときにちゃんと指導ができるようになれたらなと考えています。今も時々人に教えることがあるんですが重要なポイントを説明するのが難しくて、いろいろ試行錯誤しながらやってみているところです。(園山さん)

 

こんな人と一緒に働きたい!


▷協調性がある
▷個性や技術を伸ばしたい

当社では何よりも「和」を大切にしています。社内はもとより、協力会社や地域社会などのことを考えながら行動できる人が集まることで、大きな総合力が生まれています。そして、一人ひとりの個性や適性を活かしてできるだけ得意分野が伸びるような教育方針です。
 

企業概要


協栄金属工業株式会社

代表者   代表取締役社長 小山久紀
創 業   昭和47年2月24日
社員数   81名
事業内容  ●精密薄物板金加工
      ●パイプ加工、組立
      ●自社商品の製造販売
所在地   〒690-2701
      雲南市掛合町掛谷1865
電話番号  0854₋62₋0015
FAX   0854₋62₋0831


 



<取材時期>
2017年