宮本裕司さん
愛知県田原市というのどかな町が出身地で、田舎に慣れ親しんでいました。大学では教育分野を学んでいましたが、「教育には多世代交流が必要だ」と考え、高齢者を知るために介護ヘルパーの資格を取得しました。介護の仕事をする中で、人命に関わるような出来事に遭遇したことがきっかけで、看護師の資格も取得しました。その後は看護師として病院で5年間働きましたが、「本来自分がやりたかった事ってなんだろう?」と考えることが多くなりました。自分が大学生時代に考えていたことを思い出していくと「もっと地域を知りたい!」と考えるようになり、予防医療事業と在宅医療事業を専門に行う東京のケアプロ株式会社へ転職しました。
訪問看護に関わり始めたことで、島根県雲南市という場所でコミュニティナースとして活動されている矢田明子さんの存在を知りました。「良さそう!」という直感が働き、矢田さんが主催するコミュニティナースの説明会に参加してみました。すると「まさにこれが、学生時代から自分のやりたかったことだ!」と分かり、迷わず育成講座を受講しました。その頃は地方への移住は考えていなかったです。ただ、“コミュニティナースの発祥地”である雲南市には興味を持っていたこともあり、幸雲南塾7期生の報告会のタイミングで初めて雲南市を訪れました。幸雲南塾の報告会で体感したことは、「本当に雲南市はエネルギーのある人が沢山いるな、こんなにアツイ想いを持ったチャレンジャーがいる場所で自分も一緒にできたら楽しそうだな」と、雲南市にワクワクしている自分がいました。
そんな時に矢田さんから「雲南市の2地区に専属のコミュニティナースを配置する」といった話を聞き、思わず「自分、興味あります!」と答えていました。その場の勢いで答えてみたものの、実際は悩みました。雲南市を訪れたばかりの何も知らない状況の中で、湧き起こった感動や衝撃、ワクワクの勢いに乗ってしまって良いのか。現在の仕事にやり残したことがあるのではないか。そんな思いもありましたが、このタイミングで話を聞けたということは、何かのご縁だと考えました。そして、「今しかできないこと、自分にしかできないことが雲南市にはある、雲南市でチャレンジャーたちと共にやってみたい!」という決意を矢田さんに伝え、コミュニティナースとしての活動、そしてうんなん暮らしが始まりました。
  最初は雲南市に訪れたことのあるコミュニティナース仲間から『佐世だんだん工房』というゲストハウスを紹介され、家主さんと意気投合し住まわせて頂くことになりました。宿なので借り暮らしのような形で1部屋借りていましたが、住み心地が良くて約半年ほど住んでいました。半年間雲南市に住むと来年度の自分の動きなども見えてきたので、担当の新市地区で住まいを見つけたいと思いました。地域の皆さんに相談していたらすぐに空き家を紹介してもらい、自主組織の会長さんの昔の家にトントン拍子で入居が決まりました。地域の皆さんの紹介で家が見つかったのは、人のつながりを感じた瞬間でしたね。
  地元が田舎なので、田舎暮らしは好きだし、不便さはそこまで感じていません。雲南市の方が便利なのでは?と感じるくらいです。都会暮らしは便利でしたが、うんなん暮らしは都会では感じられないような自然と人の豊かさに溢れています。春になると桜、冬になると雪など、四季を楽しめる。山や川が近くにある景色は最高で、空気は気持ちいいです。たとえ仕事が忙しいときがあっても、苦にならないあたたかさや癒しになります。人とのつながりとあたたかさがあるためか、不思議と雲南市は「帰ってきた」と思えるような、安心感やほっこり感がありますね。
仕事でもプライベートでも新市地区の皆さんにはとても助けられました。住民さんや職場の皆さんの、コミュニティナースへの理解やバックアップがあったからこそ、仕事もスムーズに行えているな、と思います。
  交通の便が悪いとは感じます。自分は車があるので困りませんが、車に乗らない人、乗れない人にとっては不便です。市内移動も不便ですが、県外から雲南市を訪れることも大変ですね。噂通りの陸の孤島だな、と。整えたらもっと県外から人が訪れるのでは?と思います。それに加え、今までは通勤も仕事も自転車移動だったライフスタイルが、ほぼ車移動に変わったことで、今まで以上に意識的に運動習慣を取り入れなければ不摂生に繋がりやすいというところも挙げられます。
もうひとつ困っていることは、健康的な食事を摂取することに苦労するところです。例えばスーパーの品揃えです。健康的な食事をすることに対して、手軽さがないこと、また野菜はとても1人では食べきれない量で販売されていて、1人暮らし分の野菜があまり並んでいない印象もあります。ですが、地域の皆さんが家の前におすそわけなど置いてくれていたりと、地域の皆さんに支えて頂いています。視察や研修などで県外から来る方にとっては、移動と食事は死活問題だと思います。
この様に困ったこともありますが、雲南市の皆さんは課題に対して一緒に解決しようとしてくれるので、様々な提案をしながら常に一緒に取り組んでいます。課題のままでは終わらせないという雲南市の課題解決への意欲を感じる瞬間です!
  もしチャレンジしたいことがあるなら、一度雲南市を訪れてみて欲しいです。チャレンジを応援してくれる地域という土壌があり、応援し合える仲間に囲まれ、市外県外からの応援者にも出会え、1人の人間として成長させてもらえる機会に溢れているのが雲南市です。特に雲南市のチャレンジャーたちは、人のため、地域のためにチャレンジしたい人が多いので、自分1人では成し遂げられないことも、地域全体で背中を押してくれる心強さがあります。“何をするか”ももちろん大切ですが、“誰とするか”も大切で、“誰”が見つかるのは雲南市だな、と思います。うんなん暮らしのキーワードは「人」!ご縁のまち島根県にある、チャレンジャーが集うまち雲南市でお待ちしております!



 
宮本裕司ささん
2018年5月に東京都からIターン
<2019年5月取材>