坂本由紀子さん

 


地方への移住を考えたきっかけを教えてください。

広島市は生活するには何も困りませんが、交通量が多かったり自然を感じる場が少なかったりと、のびのびと子育てすることはできないと思っていました。また、夫が毎日遅くまで仕事をしている上に土日も勤務であることが多く、子どもと接する時間が全然ありませんでした。
そんな環境を変えたくて、1番下の子どもが小学校に入学するまでのところで移住をしたいと考えるようになりました。

 

雲南市への移住の決め手は何でしたか?

移住しようと考えてからは島根県の移住サイトを検索して移住先を探していました。その中で興味を持った市町村のひとつが雲南市でした。サイトも見やすく、情報が多いことが魅力的でした。興味を持った市町村へ電話で問い合わせてみたら、雲南市の定住企画員と波長が合い、このまちに移住したいなと思えました。定住企画員も同じ広島市からのIターンだったこともあり、とても話が盛り上がったことを覚えています!

 

仕事はどうやって決めましたか?

子育てをしていく中で“食”の存在がとても重要だと考えるようになり、家族全員で畑ができたらいいな、と思っていたところ、ふるさと島根定住財団に産業体験制度というものがあることを知りました。畑をやりたいことはもちろんですが、子育てのこともあるので家からの近さや休暇の取りやすさなども重要視した結果、ブドウをメインに育てている『ギアファーム』で1年間体験することになりました。今は体験が終わって、家の隣に畑を借りることができ、念願の家族で畑をする夢が実現しそうです!

 

住まいはどうやって決められましたか?

夫は広島で勤めていた仕事を変えず、そのまま島根へ転勤する形になり、先に島根で仮暮らしをしていました。夫が島根で暮らし始めたことで、出来るだけ早く雲南市へ移住したいと思うようになり、焦って家探しをしました。犬を5匹飼っていたので、賃貸物件は難しく売買物件に限って探していました。
まず空き家をいくつか内覧しました。私は田舎で暮らしたいけれど、他の家族は田舎すぎない方が良かったりと家族内で希望が合わないことや、修繕無しに住める物件が少ないこともあり、なかなか家族全員が納得する物件が見つからなかったです。そんな時にたまたま新築の建売物件を見つけました。家族の希望でもある田舎すぎない場所に建っていたので、「ここしかない!」と思ってすぐに購入を決断しました。

 

雲南市に暮らしてみた感想を教えてください。

信号が少ないので、車の運転が全く苦になりません。渋滞もなく、ストレスなく過ごせます。
移住前の希望通り3人の子どもたちがのびのびと暮らしている姿を見られてうれしいです。公園で遊んでいても車を気にすることなく安全に遊べます。広島では多忙だった夫も移住後は家族との時間ができました。土日は必ず長男のスポーツ少年団の送迎をして、熱心に野球の応援をしています。何よりも子どもたちが「引っ越してよかった」と言ってくれたことがうれしかったです。都会と違って制限なく自由に遊べることに喜びを感じているようです。
人が優しいことも魅力に感じています。ご近所さんが野菜をくれたり、子どもが友達の家へ遊びに行くとおかずを食べて帰ってきたり。皆さん本当に良くしてくれています。
 
 

移住して困ったことはありませんか?

後悔していることは、もう少し時間をかけて家を決められたらよかったな、と。すぐ住める家でしたが、学校まで距離が遠く、スクールバスも2年生までしか乗車できないので、もう少し学校に近い家を見つけるまで探せばよかったと思いました。下校の時はきつい坂道があり、夏は暑くて体調を崩す時もありました。近所に同学年の子もいないので、最後は1人で歩いて帰らないといけないのも心配です。
雪は想像以上に降って困りました。学校まで送迎しようと思っても、車を出すのに一苦労です。

 

雲南市の子育て環境はどうですか?

私が住んでいる地域では『放課後子どもの居場所づくり』という、学校終わりに子どもたちで遊んだり宿題をしたりと、放課後も友達と楽しめる場所を提供する体制ができているので、とても助かっています。しかも無料で利用できるということに驚きました。学校での勉強や生活も生徒が少ない分、先生の目が行き届いていて安心です。学びの部分はとても満足しています。
困っているのは、小児科が少ないことです。予防接種の内容によっては個人病院では打ってもらえないこともあるので、総合病院の時間に合わせて休む必要があり、不便を感じます。

 

これから地方へ移住を考えている方へメッセージをお願いします。

「移住」と言うと大きいことに感じますが、意外と何とかなるので、まずは思い切って来てみることが大切だと思いました。特に子育て世帯にはオススメしたいです。子育てをするにはとてもいい環境です。都会では遊び方や場所が制限されていたことも、雲南市では自由に遊べるので、のびのびと育っています。
自分の経験から、住む場所を選ぶことは慎重になった方がいいと思います。急いで移住する必要がなければ、たくさん情報収集をして、学校や勤務先までの距離や積雪量を考えて決めることをオススメします。田舎なので仕事の内容も限られています。限られた仕事の中でも、何となくではなく自分が何をしたいかしっかり考えてから探した方がいいです。農業がしたい場合は、移住前から情報収集をしておくとスムーズに産業体験先を見つけることができるはずです。自分自身が情報収集不足だったことを後悔しているので、これから移住を検討されている方にはとにかく情報収集することをオススメします!


 
坂本由紀子さん
2021年12月に広島県からIターン
〈2023年10月取材〉