空き家を探す

2024年04月24日
りなぴ

女子単身移住 -前編-


定住企画員の仕事をして7年目に突入しました。
もうそろそろ知っている人も多くなってきたかなと思いますが、わたしも移住の経験があります。
雲南市へも移住(孫ターンとJターンのハイブリット)していますが、自分の移住経験を話す時に思い返すのは、どちらかというと地元の松江市から愛知県の村へ移住した時のことです。

今回のコラムでは、20代女子(当時)が移住するまでの話や、田舎に単身移住した時に感じたこと、困難をどう乗り越えたか、どのようにして田舎で関係づくりをしていったかを綴っていきます。
(愛知移住については一番最初に更新したコラムでもちょこっと触れているので、予習として読んでみてね)



まずわたしが移住する経緯を話す前に、移住支援を仕事にしたいと思ったきっかけからお伝えします。

学生時代に地域おこし協力隊の存在を知り、地元でもなんでもない島根のために活動をしている地域おこし協力隊の姿を見て、こんな人たちが島根に増えてくれたらいいな〜と思いました。
地域おこし協力隊や移住された人の話を聞いていくと「移住当初はギャップに悩まされた。本当に大変だった」と、ほぼ全員の方が理想と現実のギャップに悩まされたとのこと。
移住希望者の理想と現実のギャップを埋められたら、もっと移住する人が増えるのではないか、と単純な発想ですが考えるようになり、移住者支援を仕事としてやっていきたいという明確な夢ができました。

が、島根生まれ島根育ち、県外で暮らしたことのないわたしは、移住がどれだけ大変か、どれだけ孤独か、自分ごととして全然捉えられていない状況で。

だったら自分も移住してみるか、と。



夢を叶えるべく、まずは自分自身が移住することを決意しました。



移住先を探す上で大きく3つほど条件を決めました。

①地域おこし協力隊を募集している地域
夢を見つけたきっかけが地域おこし協力隊との出会いだったので、移住するなら地域おこし協力隊として活動したいな〜と考えていました。

②農業や林業など移住支援に役立つスキルが磨ける
移住を考えている人の中で農業や林業をやりたいという方が多く、そしてほとんどの方が初心者なので、農業や林業の基礎が学べるといいかな、と。

③あまり行ったことがない地域
観光でもあまり訪れたことがない、地域性とかもよくわからないエリアで挑戦してみようと思いました。

他にも細かい条件はありましたが、この3つをわたしの中の軸として地域を探すことにしました。



地域を探すときに活用したのは、『ニッポン移住・交流ナビ JOIN』です。
https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/

こちらのサイトでは、全国の地域おこし協力隊の募集が検索できます。
分野やエリアを絞って検索することもでき、地域おこし協力隊をやってみたいと思っている方にはまず見てもらいたいサイトです!

ちなみに現在雲南市も募集していますよ〜。チェックしてみてね。



サイトで農林業に絞り検索。
うん…あたり前だけど、多い。

わたしが地域おこし協力隊を探していた時期は、ちょうど全国で「地域おこし協力隊をとにかく募集しよう!」という雰囲気になっていて、急にドーンと協力隊員の人数が増えたころだったので、募集もめちゃくちゃ多かったです。

こりゃ選ぶの大変だ…。
なので、エリアも絞ってみることに。
あまり行ったことのない東海・上越地方で探してみることに。

県ごとに絞って検索。まずは1番募集件数の少ない愛知県から。
愛知県は名古屋のイメージが強くて、都会!と思っていましたが、意外や意外、農業での募集がありました。

しかも、村。
…村?愛知県に村ってあるの!?

驚きと興味から、愛知の村の募集内容を見てみることに。

キャッチフレーズが「愛知のてっぺん」。
え、なんか素敵。
このキャッチフレーズだけで一気に惹かれてしまいました。

HPも見てみると、人口が1000人ちょっと。(現在は1000人きってしまいました)
村の97%の面積が森林なんだとか!もはや山じゃん!なにこの村!!!

他の地域を調べもせず、この村に問い合わせ。「協力隊の募集を見て、移住してみたいなと思いました」と。
村の担当者さんから「案内するので一度来てみませんか?」と提案してくれて、早速行ってみることに。
 
↑移住後のある雪の日、村の中心部が一望できる場所から撮影した写真です。



到着して感じたこと。意外と島根より寒い!(木に囲われていて)空が狭い!でも天気いい!
あと標高が高いので、某芸人さんの有名なツッコミ「高低差で耳キーンなるわ!」状態になりました。

担当者さんが村中をぐるっとまわってくれて、なんとなくどんな地域か理解できました。

とにかく景色がいい。空は狭いけど、木に囲まれている安心感というか、山の中で生活している感があって、わたしの中では好きポイントでした。
村の中にダム湖があって、そこの景色が本当に心惹かれるものがありました。(移住後も何度もダム湖の景色に励まされました。)
役場から少し登ったところから村の中心部が一望できて、そこの景色も大好きな場所になりました。

役場の担当者さんがとっても優しく、それもわたしの移住に対する想いをグッと強めてくれたきっかけになりました。



島根に帰宅後すぐ、愛知の村の協力隊へ応募をすることを決意しました。
そして面接、合格、家の決定(村の協力隊の場合、無料で村営住宅を提供してくれました)…と、とんとん拍子で話が進み。

愛知のてっぺんにある人口1000人の村へ移住することが決定!!!!!

縁もゆかりもない、愛知県の村。
もちろん知り合いもいません。

ドキドキワクワクの移住生活がはじまるぞ!!!



と、前編は一旦移住が決まったところで締めます。
 
↑いつも心救われたダム湖の景色。春は山々には山桜が、道路沿いにはソメイヨシノなどの桜が満開になり最高に素敵な景色です。



ここでわたしが感じた移住前のポイントをおさらいします。

①移住先の探し方
わたしの場合、やりたいことやエリアが明確に決まっていたので、比較的探しやすかったかな。
もちろん「まだ全然何もわからないけど移住先探しています!」タイプもたくさんいるし、興味を持った段階から情報収集することもとっても大事です。
ただ、全国どこでも移住希望者との出会いを求めているので、自分の中での軸はある程度持っていた方が「ここだ!」と思える地域に出会いやすいかな、とは思います。
わたしも3つの条件を軸に探した結果、すぐにビビッとくる地域と出会えました。
探し方としては、インターネットで「〇〇県 移住」とか自分の中でのキーワードを検索してみたり、都市部で開催される移住フェアに参加してみたり、オンラインでのイベントや相談会に参加してみたり…かな。

②興味を持った地域には事前に訪れる
ビビッときた地域には実際に訪れることでもっとビビッとくる可能性があるので(笑)、絶対に事前に訪れてみてほしいです!
わたしの場合は決めうちで1つの地域しか行きませんでしたが、2つ3つ比較できる場所を見ておくといいかな、とも思います。
移住したい側から見ると、どうしてもその地域だけがよく見えてしまいますが、何ヶ所かめぐってみると同じ田舎でもそれぞれ特徴があるので、より自分の理想の暮らしができる地域を選ぶことができます。
定住企画員として相談を受ける時も、雲南市しか見ていないと言われたら、他の地域で気になっているところがあれば見てほしいと助言します。
まあ、1ヶ所決めうち型で移住したわたしが言っても説得力ないですよね…(笑)。
もちろん「他に気になるところなんてない!雲南市に決めうっています!」という方の気持ちもわかるので、その場合は雲南市に移住したいという気持ちを最優先にして相談対応を行います。
直感も大切なので、ある程度直感も信じてください!(笑)。

③移住は自分ごと!
わたしも村役場の担当者さんにとってもとっっっても良くしてもらいました。
事前に訪れた時や面接で訪れた時にはぐるっと案内をしてくれたし、協力隊は無料で村営住宅に住めるということもあって家の手配も行ってくれた。
でも、これがあたりまえだと思ってはいけない。
移住することを決めたのは自分自身だし、冷静に考えたら単なる引っ越しでもあるわけです。
移住候補先をめぐってみることや家の手配は、本来は自分自身でやるべきことです。
それでも移住者を歓迎して案内や家の手配を行ってくれた役場の担当者さんには心の底から感謝をして、移住後は自分で自分の人生をつくっていく意識を持つことが大切だと感じました。
全国どの地域も移住してもらいたくて、様々な補助やサポートメニューを準備しています。
でも、補助やサポートメニューありきで移住するというよりは、自分が本当に暮らしたいと思えるまちを見つけて移住先を決めてほしいし、その先にたまたま補助やサポートメニューがあったという考え方をすると、自分ごととして“移住”について考えて行動できるはずです。
わたしが移住支援をしたいと思った最初のきっかけは「移住後のギャップを埋める」ことでした。移住者を増やすために過度なサービスを行うことは逆に移住後のギャップを生んでしまうのでは、と個人的に思っています。
雲南市に興味を持ってもらえたらどんな地域なのかしっかりと伝え、理解してもらい、移住を決められたら自分ごととして動いてもらいつつ、移住後までスムーズに進められるようサポートする。そのための補助やサポートメニューだと考えています。



ポイント長くなっちゃった…。
でも実体験から感じた本当に大切なことを綴ったつもりです。



次回は後編として移住後の暮らしを更新します。
前編同様、長編大作になりそうだな…。
更新がんばります。




【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。